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正田病院からのお知らせ

院長’S コラム Vol.9 「胃がんと胃カメラ   ~ヘリコバクター・ピロリ菌のこと~」

コラム
胃がんと胃カメラ   ~ヘリコバクター・ピロリ菌のこと~

みなさんこんにちは。院長の熊野です。

今回は現在も日本での臓器別癌死亡率の上位になっている胃がんについて
書いてみたいと思います。

胃がんは2023年現在、癌死亡数では男性で3位、女性では5位となっています。
これは以前より低下傾向ではありますが、依然高い水準です。

胃がんは東アジアに特異的に有病率が高いと言われており、その原因として
ヘリコバクター・ピロリ(HP)菌の存在が知られています。

胃がんはHP菌により慢性的に炎症を繰り返した胃粘膜(萎縮胃粘膜)が
発がんの発生母地とされています。

つまり、胃がんは感染症の一種なのです。

現在、日本において胃がんの早期発見・早期治療の治療方法が確立しており、胃がんにより命を落とす方は直近30年で激減しています。
またヘリコバクター・ピロリ菌の保菌率も年齢が若いほど低いことが分かっており、それによる胃がんの自然発生率が減少し、その傾向は今後も続くと想定されています。

では胃がんは減少していき、いずれは稀な疾患になるでしょうか。
それは難しいと言わざるを得ません。

現在のHP感染の多くの経路は、親子間の唾液による直接感染と言われています。
HP菌の初感染は多くは10歳までに起こると言われており、HP菌の保菌者である親から子への感染が感染経路の中心となっています。つまり親世代のHP感染が存在する限り、子世代への感染がなくなることはないと考えられるからです。

HP菌に感染していても、すべての人が胃がんになるわけではありません。
しかしHP菌が関与していない胃がんは極めて稀であるため、HP菌の感染とそれによる慢性胃炎を早く診断し、HP菌の除菌療法を行うことは胃がんの発生リスクの減少に大きく寄与します。これらは多くの研究結果で証明されており、胃がん・HP菌治療のガイドラインにも強く推奨されています。

まずは自覚症状(胃痛や胃もたれなど)がなくても、健診での上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)をお勧めします。HP菌の感染が内視鏡検査で疑われた場合には、HP感染の有無を検査すること、HP菌の感染が判明した場合にはなるべく早くHP菌の除菌療法を受けましょう。

またHP除菌療法後は胃がんのリスクは、無治療で放置した場合に比べて低減はしておりますが、胃がん発生をゼロにすることは出来ないと言われています。
HP除菌後も、年1回の胃カメラ検査が推奨されています。

胃がんやヘリコバクター・ピロリ菌についてご心配な方は、当院外来までご相談ください。

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